ここでは脊柱管狭窄症という病気について少し専門的な内容も含めてお話していきたいと思います。
すでに病院で「脊柱管狭窄症」の診断をうけた方、もしくは腰や足の痛み・しびれで「私って狭窄症なの?」と不安な方はこのブログを参考に、ご自身の体の状態を確認してみてください。
どんな腰痛でも良くするためにはまずは現状を知り、問題点を見つけていくことが重要になります。
- あなたは狭窄症?
- 5つのセルフチェック
- 狭窄症とは?
- 狭窄症のメカニズム
- 背骨がわかれば脊柱管狭窄症がわかる
- 脊柱管狭窄症はなぜ起きるのか?
- 狭窄症が起きる5つの原因
- 狭窄症の3つのタイプ
- 神経の圧迫部位による3つのタイプ
- 狭窄症な治療法は?
- 一般的な治療法
- 骨盤王国での治療法
- 最後に・・・
あなたは狭窄症?
5つのセルフチェック
まずは次の5つのチェック項目からあなたの体の状態を確認してみましょう。
2つ以上該当する場合はあなたは脊柱管狭窄症の可能性大です。
🔲分厚い靴下を履いているように足の裏の感覚がにぶい
🔲長い時間立っているとお尻からもも、足にかけてしびれる
🔲痛みやしびれが前かがみになると楽になる
🔲少し歩くと痛みやしびれが増し、休むと楽になる
🔲寝ている時でも痛みやしびれがつらい
いかがでしたか?
もし2つ以上該当してしまった場合も心配ありませんが、きちんとしたケアが必要になります。
このブログを参考にあなたの現状を知り、生活習慣を改善すれば脊柱管狭窄症はこわくはありません。
狭窄症とは?
狭窄症のメカニズム
狭窄症とは「脊柱管狭窄症」のことになります。
脊柱管狭窄症の大きな原因は加齢による体の変化です。
老化によって腰椎や椎間板が変形し、脊柱管(背骨の中にある神経の通り道)が狭くなり、中を通る神経を圧迫してしまい痛みやしびれが引き起こされる、
というのが脊柱管狭窄症の大まかなメカニズムです。
狭窄症の主な症状は腰から足にかけての痛みやしびれです。
特徴的な症状としては間欠性跛行といって、歩くと症状が悪化し、腰を丸めて休むと楽になるというものです。
ここからはもう少し専門的なお話になります。
脊柱管狭窄症を知るには、私たちの体のしくみ、特に脊柱(背骨)の構造について知る必要があります。
背骨がわかれば脊柱管狭窄症がわかる
私たちの体を支えてくれている背骨は椎骨という小さな骨からできています。
その内訳は頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、さらに仙骨、尾骨と続きます。
頚椎から尾骨まで合わせると30個以上の骨から成り立っています。
その椎骨が積み重なって、全体として横から見るとS字状の緩やかなカーブを形成しています。
このカーブによって人間の頭の重さを分散したり、歩いていて地面からの衝撃を緩衝してくれています。
椎骨と椎骨の間には「椎間板」という軟骨がはさまってクッションの役目を果たし、さらに椎骨は「靭帯」によって結合されています。
椎骨は、椎体という前側の部分と、棘突起、横突起、椎弓などからなる後ろ側の部分に分けられますが、椎体と椎弓に囲まれた中心部分に椎孔という穴があります。
椎骨が積み重なると、この椎孔が連なって筒状の空洞ができあがります。
これが脊柱管となり、この中に脊髄が通っているのです。
そして、脊髄から枝分かれした脊髄神経が椎骨と椎骨の間から体の筋肉や内臓につながり体全体をコントロールしているのです。
つまり、人間が体を動かし生きていく上で重要な働きをする神経を保護する役割を担っているのが脊柱管というわけです。
腰椎の上の胸椎は12対の肋骨とつながり胸骨とともに強固な胸郭をつくっています。
心臓や肺といった重要な臓器を守るために、これだけ頑丈な胸郭が必要だったのでしょう。さらに腰椎の下の骨盤にも腸や生殖器を守るためにがっちりとした輪のような構造になっています。
それに対して腰椎は、ただの1本の柱です。
腰椎は私たちの体重を支えるとともに、腰の曲げ伸ばしなどを行うための運動器をしての役割も担っているのです。
このように腰椎は、構造的には弱いにもかかわらず、人間の運動を支える重要な運動器でもあるため、もともと負担がかかりやすい部位なのです。
脊柱管狭窄症はなぜ起きるのか?
狭窄症が起きる5つの原因
狭窄症の原因が加齢による体の変化ということはすでにお伝えしました。
骨や軟骨、靭帯が加齢とともに変化(老化)していくとこは自然な生理現象で、誰にでも起きるものです。
しかし、この変化に本人が気づくことは難しいものです。
本人が気づかないうちに徐々に腰椎やその周辺の老化が進行し、病態としてある程度完成した段階で痛みやしびれとして現れるのが狭窄症の特徴です。
では、狭窄症の痛みやしびれはどのような要因で引き起こされるのでしょう?
①骨の変形
長年にわたって腰椎に負担がかかり続けると、椎体の角にトゲのようなものが形成されます。これが「骨棘」と呼ばれるもので、これが脊柱管に突き出し神経を圧迫するようになります。
②椎間関節の変形
椎体の後ろ側の部分を上下に結ぶのが椎間関節です。ここにも負担がかかり長年わたって続くと、関節自体が肥大し、骨棘も形成され脊柱管を狭めることになり神経の圧迫につながります。
③椎間板の変性
椎体と椎体の間でクッションの役割をしている軟骨組織が椎間板です。
これが老化して弾力を失うと椎間板そのものがつぶれてはみ出し、脊柱管が狭くなってしまいます。
④靭帯の肥厚
靭帯は、上下に連なる椎骨を安定的に結合させるための線維性の組織で、脊柱はいくつかの靭帯によって連結されています。
長年にわたって悪い姿勢をとっていると、これらの靭帯がつねに引っ張られた状態になります。これに対して靭帯は自らが切れないように肥厚(はれて厚くなる)し、肥厚した靭帯によって脊柱管が狭くなります。
とくに椎弓同士をつなぐ黄色靭帯が肥厚しやすいといわています。
⑤椎骨のズレ
椎骨は通常、縦にきちんと整列していますが、老化にともなって椎骨が前後にズレてくることがあります。椎骨がズレると、上下の椎骨同士の脊柱管もズレて狭くなります。
このような原因が複合的に発生して神経を圧迫することで、痛みやしびれとなって現れると考えられています。
そして実際に神経の圧迫がどこで起きているのかによって症状に違いがあります。
あなたの症状と比較して自分がどのタイプなのかを確認してみましょう。
狭窄症の3つのタイプ
神経の圧迫部位による3つのタイプ
3つのタイプというのは、神経根の部分が圧迫されて起こる「神経根型」、脊髄の末端部の馬尾神経が圧迫されて起こる「馬尾型」、神経根型と馬尾型の両方が出る「混合型」です。
「神経根型」
神経根型の痛みやしびれの出かたは図のように、圧迫された神経根の部位が腰椎の上から5番目(L5)の神経なら太ももやすねの外側から足先、仙骨の1番目(S1)なの神経なら太ももの裏側やふくらはぎ、足の裏というように、圧迫された部位によって症状の出る場所に特徴があります。
神経根は左右に1つずつありますが、両方が同時に圧迫されることはそれほど多くはありません。
多くは狭くなった脊柱管によって左右どちらかが圧迫され、圧迫された側の足に症状が出ます。
左右どちらか一方に痛みやしびれが出ることが多いのが神経根型の特徴です。
「馬尾型」
馬尾というのは脊柱管を通る神経の束です。馬尾型ではこの神経の束が圧迫されるので、幅広い症状が現れます。
馬尾型のメインの症状は足のしびれです。痛みは、通常それほど強くはありません。
神経根型が左右どちらかに症状が出やすいのに対し、馬尾型のしびれは両足に出ます。
その範囲は、お尻、太もも、すね、ふくらはぎ、足の甲、足の裏、足の指など広範囲に現れます。
また、しびれ以外の症状として、会陰部のしびれやほてり、足の灼熱感、排尿障害、便秘なども現れます。
馬尾型の方が、より症状が広く現れることがわかると思います。
「混合型」
脊柱管狭窄症の原因として考えられるのが、骨の変形、椎間関節の変形、椎間板の変性、靭帯の肥厚などでした。
これらの老化現象は同時多発的に起こっているため、狭窄も脊柱管の中心部から、神経の出口まで全体におよぶことがあります。
この結果起こるのが、神経根型と馬尾型が合併した混合型です。
またどちらかが先に発症して、のちに混合型に行こうするケースもあります。
混合型の症状としては、馬尾型に特徴的な、お尻から足にかけての広範囲のしびれに加え、痛みを伴います。
さらに馬尾型に現れる多様な症状も出てきます。
狭窄症の治療法は?
一般的な治療法
一般的に狭窄症の治療法には、手術による治療のほかに、薬物療法、理学療法、神経ブロック療法などの保存療法があります。
「薬物療法」
脊柱管狭窄症の原因そのものを解消する薬はありません。いずれの薬も症状をやわらげる目的で処方されます。
消炎鎮痛剤、筋肉の緊張をやわらげる薬、血管を広げて神経の血流を改善する薬、痛んだ神経の栄養となるビタミンB12などがあります。
「理学療法」
ホットパックなどで患部を温めることで血流を良くし、痛みなどの症状をやわらげる温熱療法。
痛みやしびれのあるところへ低周波などを流す電気療法。
機械的に腰椎を引き伸ばし、痛みなどの症状をやわらげる牽引療法。
いろいろな身体運動によって体の機能を回復させる運動療法などがあります。
「神経ブロック療法」
痛みを起こす神経に局所麻酔薬を注入して麻痺させ、痛みをとる療法です。
歯医者さんで歯を抜くときに痛みを感じさせないために麻酔をしますが、ブロック注射は基本的にそれと同じ原理です。
おもに硬膜外ブロック注射と、神経根ブロック注射の2つの方法があります。
「手術療法」
数ヶ月間の保存療法で効果が認められない場合や、痛みやしびれが強い場合、排尿排便障害が認められる場合には手術が選択されます。
手術法には神経の圧迫を軽減させるための除圧術と、弱ってしまった腰椎を補強する固定術に大きく分かれます。
手術は、成功すれば痛みやしびれがなくなることもありますが、一部の人では、症状が残ってしまうことや、術後に症状が再発することもあります。
また、手術自体にある程度、リスクをともなうのも事実です。
手術はあくまでも「最後の手段」です。
それまでにできることはたくさんあります。
骨盤王国での治療
狭窄症の大きな原因は老化による体の変化です。
しかし、年齢を重ねて狭窄症になる人もいればそうじゃない人もいます。
なにが違うのでしょうか?
それは、狭窄症になるまで腰に負担をかけ続けてきたということです。
骨盤王国腰痛専門整骨院に、病院で「狭窄症」の診断をうけてから来られる方たちも、お話を聞いていくと、若い頃からぎっくり腰を繰り返している方や、ヘルニアやすべり症の経験もある方がほとんどです。
腰に負担をかけ続けた結果、体がその負担に耐えようと骨を変形させたり、靭帯を分厚くしてくれているのです。
その負担を解決せずに手術しても再発するのは当然といえば当然かもしれません。
骨盤王国腰痛専門整骨院では、この腰にかかっている負担を取り除いていきます。
体のバランスが崩れて腰に負担がかかっているのであれば、体のバランスを整える必要があります。
過去のケガや内臓疲労が原因で腰に負担がかかっているのであれば、ケガによって動かなくなっている関節の調整や、内臓の調整も必要になります。
さらに、全身の循環を良くして人間のもつ自然治癒力を高めていきます。
そうすることによって腰の負担をかけている筋肉や関節の状態がよくなるだけでなく、体のいい状態を維持して再発しにくい体になるのです。
もうひとつ大事になることが、生活習慣の改善です。
これには普段の姿勢やセルフケアの運動から、食事や睡眠なども含まれます。
こうして腰にかかる負担を極力なくしていくことで狭窄症による痛みやしびれが出ない体を目指していきます。
最後に・・・
狭窄症といっても人によってタイプや進行具合はさまざまです。
また、狭窄症の症状で悩んでいる人が置かれた環境もさまざまだと思います。
手術自体が悪いわけではありませんし、すべての狭窄症が手術をせずに良くなるとは言えません。
しかし、狭窄症は手術をしないと良くならない病気ではありません。
まずは、あなたの体の状態をしっかりと把握して、今の自分にできることをやってみましょう。